
北陸の企業で、3〜5年後に会社を手放そうと考えている社長へ。売るにしても子や社員に継ぐにしても、相手を探す前にできる下準備があります。株主の整理、会社と社長個人の線引き、社長個人の遺言です。順番は、社長個人と会社の整理が先で、相手探しは最後です。
同じテーマを別の切り口で、事業承継・M&Aプラットフォーム「バトンズ」にも寄稿しています。
相手探しは4つ目の段階です──会社を手放す前に進める「見える化」と「磨き上げ」(バトンズ)
準備を始める年齢の目安は「後継者がいない北陸の会社へ」で紹介しています。富山県の調査で見る準備の状況は「富山県の事業承継」にまとめました。ここでは、下準備にかかる時間を見ておきます。
中小企業庁の事業承継ガイドラインによると、後継者が決まってから承継を終えるまでの期間は、3年以上が半数を上回ります。10年以上かかる割合も少なくないとされています。
ガイドラインが引く調査では、後継者に決まった人の約5割が、経営者になる準備に5年以上が必要だと答えています。社外に引き継ぐ場合も、希望に合う相手と出会うまでに、数か月から1年程度かかるのが通常とされています。
下準備のなかでも、株の整理は時間がかかりやすい作業です。連絡のつかない株主がいる場合、特例を使っても、通知が届かない状態が1年続いていることなどが要件です(第3章)。
3〜5年後に手放すと決めているなら、残りの時間は移行にかかる期間とほぼ同じです。相手を探し始める前の今のうちに、下準備に手を付けておきます。
出典:中小企業庁「事業承継ガイドライン(第3版)」(令和4年3月)p.14・p.55・p.98
ガイドラインは、事業承継を5つのステップで示しています。相手を探す前の下準備にあたるのは、2つ目と3つ目です。
見える化の例として、ガイドラインは自社株の数の確認と株価の評価を挙げています。事業に使う経営者の不動産、会社との貸し借り、経営者保証の有無を確かめ、会社と個人の関係をはっきりさせるともしています。
磨き上げは、業績や経費だけの話ではありません。ガイドラインは、事業に要らない資産や滞留在庫の処分、余分な借入の返済で、経営資源をスリムにすることも挙げています。
正確で適正な決算書を作ることも、見える化の一つとされています。売る場合も継ぐ場合も、相手はまず決算書を見て会社を知ります。
株式会社トマックの進め方は「事業承継・M&Aのご案内」に載せています。
まず株主名簿で、誰が何株持っているかを確かめます。先代の名義のままの株や、親族に分かれた株はないでしょうか。
名義だけ他人になっている株があれば、実際に出資したのは誰かを、当時の記録で確かめて整理します。
株が分かれていると、売るときは株主ごとに譲渡の手続きが要ります。継ぐときは、後継者の議決権が足りなくなることがあります。
連絡のつかない株主の株は、会社法では、通知が5年続けて届かないなどの要件で売却できます。都道府県知事の認定を受けると、経営承継円滑化法の特例でこの5年が1年に短くなります。
特例の認定には、代表者の年齢や健康状態から経営の継続が難しいことなどの要件があります。申請は、本社のある県に行います。
社長自身の判断能力も、株の整理に関わります。判断能力がない状態で結んだ契約は無効になるため、衰えた後は、本人が株を売ることができなくなります。
出典:中小企業庁「所在不明株主に関する会社法の特例 申請マニュアル」/e-Gov法令検索「会社法」(第197条)「民法」(第3条の2)
会社と社長個人のお金や財産が混ざっていると、買い手も後継者も判断に迷います。次の4つを一覧にします。
社長が会社に貸したお金は、社長が亡くなれば相続財産になります。売る場合も、譲渡の前にどう清算するかを決めておきます。
許認可のある会社は、株を売るか事業を売るかで、許可の扱いが変わります。建設業の例は「建設業のM&A」にまとめています。
経営者保証は、承継のときに見直す仕組みがあります。後継者へそのまま移すのではなく、保証が本当に必要かを金融機関が改めて検討することになっています。
出典:経営者保証に関するガイドライン研究会「事業承継時に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則」
準備の途中で社長に万一のことがあると、自社株は相続人全員の共有になります。売る話も継ぐ話も、遺産分割が終わるまで止まります。
売ると決めている場合も、売却が終わるまでは遺言が要ります。自社株を誰に渡すかは、遺言で決めておけます。書き方は、行政書士法人トマックの「経営者の遺言書」にまとめています。
子や社員に継ぎ、事業承継税制の特例措置を使うなら、特例承継計画の提出は2027年9月30日までです。期限は「事業承継税制の2つの締切」で整理しています。
親族に継ぐ場合、ガイドラインは将来の相続も見据えて、相続財産を特定し、相続税額の試算や納税の方法を検討するとしています。
北陸3県の公的な相談窓口は、次のとおりです。
| 窓口 | 所在地 | 電話 |
|---|---|---|
| 富山県事業承継・引継ぎ支援センター | 富山市高田527 情報ビル2F | 076-444-5625 |
| 石川県事業承継・引継ぎ支援センター | 金沢市鞍月2-20 石川県地場産業振興センター新館2F | 076-256-1031 |
| 福井県事業承継・引継ぎ支援センター | 福井市西木田2-8-1 福井商工会議所ビル8F | 0776-33-8279 |
株式会社トマックは、決算書を拝見して企業価値の目安を無料で算定しています。社長個人の遺言や相続のご相談は、グループの行政書士法人トマックの「相続手続き・遺言のご案内」でお受けしています。
株式会社トマックは、国のM&A支援機関登録制度に登録しています。富山・高岡・福井の事務所を拠点に、石川県を含む北陸全域へこちらからお伺いします。
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※ 株式会社トマックがご相談の窓口になり、提携する士業専門家と連携して進めます。
※ 本記事は2026年10月時点の法令と公表資料にもとづいています。制度の内容や受付期間は変わることがありますので、手続きの前に各窓口でご確認ください。
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初回のご相談は無料です。秘密は必ず守ります。